プロローグ
今回は10日ほどの予定でロンドンへの旅である。
何年かぶりの長期のお休みだ。
最初は妻と行く予定であったが、諸事情により今回はひとり旅となってしまった。
ひとり旅。
僕はどこでもひとりで行けるタイプの人間だ。
なんなら今まで行った海外旅行のほとんどはひとり旅だった。
まぁ毎回ロックかプロレスが絡むという趣味全開の旅なのでそれが一番良い。
今回もひとり旅になってしまうならやめようかと思ったが、妻の「せっかく休む気になったんだから行ってきたら?」の一言で背中を押されロンドンへ。
まったく休みがなかったここ数年。
ありがたく行かせてもらうととした。
昨年からベストシーズンの5〜6月で行こうかなと考えていたところ、渡英が決定的になるスケジュール(後に公開しますが、ほんとに僕はツイてる!)ができたので、それに合わせての渡英ということになりました。
そんなロンドンひとり旅は自分の中でいろんなミッションがある。
今回のテーマは…
ロンドンに『過去の自分』を迎えに行く旅
なのだ。
このANAの直行便は僕にとってはある意味タイムマシーンなのかもしれない。
30年前に戻るために14時間以上かかる、かなり現実的なタイムマシーンではあるが笑
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大学を卒業してすぐに入った会社。
当時、とある省庁の外郭団体。
その組織が腐りきっていた。
所詮は役人のお偉いさんが退職した後も、しこたま給料をもらうために天下り先で作った会社。
若かりし頃の何も知らない正義感から、直属のやらかし体質の課長(笑)のトンデモ発言に、ついつい襟首を掴んでしまった。
その後ダースシディアスのような悪い顔をした部長に進退を問われたのであっさり退職を申し出た。
汚い手を使いながら仲間を陥れるような出世争い、いかに仕事をせずラクに生きていくかだけが絶対のくだらない世界に身を置きたくなかった。
もう日本社会がイヤになっていた。
さて、これから何をしようか?
迷った挙げ句、当時友人がいたロンドンにしばし身を置くことにした。
自分探しの旅(死語だよな笑)という名の現実逃避である。
お金が続くだけ行ってみるか!という感じで、アパートを借りて3ヶ月くらい滞在した。
インド人オーナーのアパートで毎週末に家賃を払うシステム。
建物がガチで傾いていたな笑
そこで毎日ダブルデッカーやチューブを使い倒して、ただただロンドンの街中を歩きまわった。
ついでに飛行機でスペイン、船でアイルランド、電車を乗り継いでウェールズなどにも足を伸ばして、自由な時間を過ごした。
ライブに行ったり、プロレスを観たり、お城や博物館、美術館のハシゴ。
素敵なものをたくさん感じ取ることができた。
若い自分にはとても刺激が強かった。
当時は英語もまぁまぁ自在だったので言葉のストレスもなかったしね。
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ロンドンでは毎日不安だった。
これからの未来が何も見えない。
どれだけ考えても自分が何者なのかの答えが出ない。
あれほど自分自身の存在に葛藤したことはない。
だからロンドンは僕にとっては苦しかった街。
今思えば20代とはそんな年代なのだろうか。
誰もがブチ当たる壁なんだろう。
日本ならまるで死んだように生きていただけかもしれない。
日本社会と切り離された海外だったから苦しくても生きていられた。
そんな苦しいような、楽しいような海外での責任の無い自由な生活。
毎日歩き回り、スーパーで買い物、自炊をして、コインランドリーに通う。
そんななんでもない時間が僕を救ってくれた。
ロンドンの空と同じようなグレーな心で過ごしたあの日々は忘れることはないだろう。
苦しかったとはいえ、そんな思い出がある自分は幸せなのかもしれない。
あの時25歳。
今年の夏で55歳。
あれからちょうど30年が経った。
20代後半にやっと自分の中の何かが動き出し、30代で方向性が定まり、40代は覚悟を持って生きることを学び、50代の今は生き方が定まっている。
そんな55歳のロンドンの空は何色に見えるのだろうか。
ただ、それを感じたくて行く旅でもある。
苦しかった頃の昔の自分を迎えに行くということは覚悟がいることでもある。
人生を振り返り、過去と現在の立ち位置の確認だ。
ロンドンに降り立ち、自分の感情がどう動くのだろうか。
とても楽しみである。



